【白文】
子曰、
甯武子邦有道則知、邦無道則愚。
其知可及也。
其愚不可及也。
【書き下し文】
子曰く、
「甯武子、邦に道あれば則ち知、邦に道無ければ則ち愚。
其の知は及ぶ可き也。
其の愚は及ぶ可からざる也。」
【現代語訳】
先生がおっしゃるには、
「甯武子(という人)は、国が安定しているときは知者であり、国が混乱しているときは愚者であった。
その知者ぶりは真似できる。
(しかし)その愚者ぶりは真似できない。」
孔子が衛の国の重臣であった甯武子という人について述べています。
甯武子はどういう人だったのですか。
国が安定しているときは知者として活躍し、国が混乱しているときは愚者を装い、知らぬふりをしていたと述べています。
知者の様子は真似できるが、愚者の様子は真似できないと述べていますね。
これは愚者のふりをして何もしなかったことを批判しているのですよね。
いえ、そうではないようです。
あえて愚者のふりをしてそれ以上状況を悪化させないようにした対応を称賛しているようです。
積極的に手出しをして状況が改善することもありますが、あえて静観することで状況が改善することもあります。
ここでは愚者のふりをして静観した甯武子の対応は真似できるものではないと称賛しているのです。
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