【白文】
見齊衰者、雖狎必變。
見冕者與瞽者、雖褻必以貌。
凶服者式之。
式負版者。
有盛饌、必變色而作。
迅雷風烈必變。
【書き下し文】
斉衰の者を見ては、狎れたりと雖も必ず変ず。
冕者と瞽者とを見ては、褻れたりと雖も必ず貌を以てす。
凶服の者には之に式す。
負版の者に式す。
盛饌有れば必ず色を変じて作つ。
迅雷風烈には必ず変ず。
【現代語訳】
(先生は)斉衰の重い喪服を着た人に会うと、親しい間柄でも必ず襟を正した。
麻の冠をかぶった人や目の悪い人に会うと、親しい間柄でも必ず顔の表情を引き締めた。
軽い喪服を着た人に会うと軽く敬礼をされた。
戸籍簿を担いでいる役人に会っても軽く敬礼をされた。
豪華なごちそうをふるまわれたときは、必ず顔の表情を引き締めて立ち上がった。
激しい雷や暴風に遭遇したときも、居住まいを正した。
様々な場面で孔子が礼法にのっとった対応をしたことが示されています。
具体的には?
斉衰の喪服というのは重い喪に服す人が着る喪服です。
斉衰の喪服を着た人に出会うと、必ず姿勢を正したということです。
麻の冠をかぶった人というのは、高い位にある役人です。
これらの役人や目の不自由な人など身体に障害をもつ人に出会うと顔の表情を引き締めました。
これらの動作には深い哀悼や思いやりの心が表れています。
凶服というのは軽い喪に服す人が着る喪服です。
この凶服を着た人や、死者の戸籍簿をもつ役人に出会うと軽く敬礼をして哀悼の意や敬意を示しました。
また、豪華な食事をごちそうされたときは、表情を正して立ち上がり、感謝の思いを示しました。
さらに、激しい雷雨や暴風に遭遇したときも姿勢を正し、自然に対する敬虔な思いを示しました。
どんなときもその状況にふさわしい態度を示したのですね。
はい。
孔子にはいつもその場その場にふさわしい誠実な態度が見られたということです。
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