【白文】
齊必變食、居必遷坐。
食不厭精。
膾不厭細。
食饐而餲、魚餒而肉敗、不食。
色惡不食。
臭惡不食。
失飪不食。
不時不食。
割不正不食。
不得其醬不食。
肉雖多、不使勝食氣。
唯酒無量、不及亂。
沽酒市脯不食。
不撤薑食。
不多食。
【現代語訳】
齊するときは必ず食を變じ、居は必ず坐を遷す。
食は精を厭わず。
膾は細きを厭わず。
食の饐して餲せる、魚の餒れて肉の敗れたる、食らわず。
色惡しきは食らわず。
臭いの惡しきは食らわず。
飪を失えるは食らわず。
時ならざるは食らわず。
割りめ正しからざれば食らわず。
其の醤を得ざれば食らわず。
肉は多しと雖も、食の気に勝たしめず。
唯酒は量無く、乱に及ばず。
沽う酒と市う脯は食らわず。
薑を撤てずして食らう。
多くは食らわず。
【現代語訳】
(孔子は)斎戒沐浴のときは必ずいつもと違う食事をし、家の中でも必ず座席をいつもと違う場所にした。
(普段の食事は)精米された白米を好んだ。
魚の刺身は細かく刻んだものを好んだ。
古くなって臭いや味が変わったご飯や、いたんだ魚や腐った肉は食べなかった。
色の悪いものは食べなかった。
臭いの悪いものは食べなかった。
煮加減の悪いものは食べなかった。
季節外れのものは食べなかった。
切り方がよくないものは食べなかった。
かける醤(調味料)が合わないときは食べなかった。
肉を多く食べたとしても、ご飯の量を超えることはなかった。
酒の決まった分量はなかったが、乱れるほどは飲まなかった。
(自家製以外の)市場で買った酒と干し肉は口にしなかった。
(魚や肉のにおい消しの)はじかみは捨てずに食べるが、多くは食べなかった。
孔子の食事に対する様子が細かく説明されています。
孔子先生は質素な食事を奨励していたように思うのですが・・・。
何か違和感を感じます。
確かにそんな気もします。
しかし孔子が推奨していた質素な食事というのは、決して悲壮感の漂うようなものではなかったのでしょう。
旬のものを、新鮮なうちに、適切な調理法でいただく。
ただ粗末な食事を食べていればよいという考え方ではなく、食事にもこだわりをもっていた様子がうかがえます。
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