論語 郷党10-7

郷党

【白文】
齊必變食、居必遷坐。
食不厭精。
膾不厭細。
食饐而餲、魚餒而肉敗、不食。
色惡不食。
臭惡不食。
失飪不食。
不時不食。
割不正不食。
不得其醬不食。
肉雖多、不使勝食氣。
唯酒無量、不及亂。
沽酒市脯不食。
不撤薑食。
不多食。

【現代語訳】
さいするときはかならしょくへんじ、きょかならうつす。
しらげいとわず。
なますほそきをいとわず。
してあいせる、うおあされてにくやぶれたる、らわず。
色惡いろあしきはらわず。
においのしきはらわず。
じんうしなえるはらわず。
ときならざるはらわず。
りめただしからざればらわず。
しょうざればらわず。
にくおおしといえども、たしめず。
唯酒たださけ量無りょうなく、らんおよばず。
さけほしにくらわず。
はじかみてずしてらう。
おおくはらわず。

【現代語訳】
(孔子は)斎戒沐浴のときは必ずいつもと違う食事をし、家の中でも必ず座席をいつもと違う場所にした。
(普段の食事は)精米された白米を好んだ。
魚の刺身は細かく刻んだものを好んだ。
古くなって臭いや味が変わったご飯や、いたんだ魚や腐った肉は食べなかった。
色の悪いものは食べなかった。
臭いの悪いものは食べなかった。
煮加減の悪いものは食べなかった。
季節外れのものは食べなかった。
切り方がよくないものは食べなかった。
かける醤(調味料)が合わないときは食べなかった。
肉を多く食べたとしても、ご飯の量を超えることはなかった。
酒の決まった分量はなかったが、乱れるほどは飲まなかった。
(自家製以外の)市場で買った酒と干し肉は口にしなかった。
(魚や肉のにおい消しの)はじかみは捨てずに食べるが、多くは食べなかった。

ハチ

孔子の食事に対する様子が細かく説明されています。

孔子先生は質素な食事を奨励していたように思うのですが・・・。
何か違和感を感じます。

ハチ

確かにそんな気もします。
しかし孔子が推奨していた質素な食事というのは、決して悲壮感の漂うようなものではなかったのでしょう。
旬のものを、新鮮なうちに、適切な調理法でいただく。
ただ粗末な食事を食べていればよいという考え方ではなく、食事にもこだわりをもっていた様子がうかがえます。

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